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 C組:118 三井栄二  2020/01/07-17:16:45  [60565]  

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      ┗ Re[2]:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2022/02/14-23:43:08  [60852]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/08/01-15:07:43  [60823]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/08/05-10:13:08  [60824]  
      ┗ Re[2]:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/08/06-22:19:43  [60825]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/08/28-12:45:08  [60826]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/11/24-18:18:02  [60841]  画像あり!  
      ┗ Re[2]:C組:118 三つ井遺児  2021/12/05-11:17:22  [60843]  
         ┗ Re[3]:C組:118 ↑ 誤変換でした(三井栄二)  2021/12/08-08:25:18  [60847]  
            ┗ Re[4]:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2022/03/20-21:57:27  [60863]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/11/29-23:59:27  [60842]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/12/05-11:32:31  [60844]  画像あり!  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/12/14-10:53:51  [60848]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/12/19-08:38:56  [60849]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/12/22-21:23:21  [60850]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2021/12/27-21:10:54  [60851]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor 正良 Cobattie  2022/04/02-22:33:44  [60864]  
      ┗ Re[2]:C組:118 一明  2022/04/17-14:57:26  [60865]  
         ┗ Re[3]:C組:118 Sailor 正良 Cobattie  2022/04/29-13:22:50  [60866]  
            ┗ Re[4]:C組:118 一明  2022/05/05-16:49:23  [60867]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2022/11/01-23:48:58  [60868]  
      ┗ Re[2]:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2022/11/01-23:54:07  [60869]  画像あり!  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2023/08/17-22:01:23  [60870]  
      ┗ Re[2]:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2023/08/18-11:33:25  [60871]  
      ┗ Re[2]:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2023/08/18-11:43:39  [60872]  
   ┗ Re:C組:118 Sailor Cobattie 正良  2023/09/27-22:17:49  [60873]  


C組:118 2020/01/07/17:16:45 No.60565  
三井栄二  
 新年おめでとうございます。
 ツリーが長くなりましたので、このへんで新規にしましょう。

 いやはや2020年になりましたな。21世紀も2割過ぎました。
 鉄腕アトム世代のオレたちが夢見た21世紀は、仕事は全部ロボットがやってくれるし、どんな病気や怪我も簡単に治るはずだった。空飛ぶ車が透明なチューブの中を飛び回り、ボタンを押せば好きな料理が出てくるはずだった。堤防が決壊しそうになっても、ロボットたちが防いでくれるし、そもそも自然はコントロールされていて、災害なんて起きないはずだった。

 鉄腕アトムは2003年4月に誕生した設定になっているらしい。
 台風19号の災害ボランティアに参加し、リンゴ畑で厚い泥と格闘しながら、鉄腕アトムに言ってやりたかった。「21世紀になっても、最後は人の力なんだぞ。」
 確かにものすごく便利な世の中になったけど、毎日、障害者や高齢者の送迎をしていると、オレたちが育った昭和30年代と変わらないどころか、社会全体の包容力や許容力がなくなり、むしろ暮らしにくくなっているように思えてなりません。

 21世紀になっても、健康第一。
 ほどほどに頑張りましょう。

Re:C組:118 2020/01/10/15:42:22 No.60567  
Sailor Cobattie  
Lucy Maud Montgomery「Anne of Windy Poplars」(Kindle版)読了。
Anne Shirley Series # 4、 「赤毛のアン」シリーズの4作目にあたる。
大学を出たアンはサマーサイドハイスクールに校長として赴任する。
そこで出会う子供や同僚、下宿先の人々にまつわる物語が展開する。
アン自身のことというより、彼女の助けにより幸せになる人達の話だ。
彼女はミス・シャーリーつまりシャーリー先生として登場することが多い。
読んでいてふと思い出したのはカフェ「マカン・マラン」のシャールさん。
周りの人達を幸せにするのはマカン・マランの「シャールさん」と同じ。
シャールさんというのは、ミス・シャーリーにちなんだ命名かもしれない。
と思った。古内一絵さんがアンシリーズを読んでないはずはないから…。
 
2020年、本年もどうぞ宜しく。

Re[2]:C組:118 2020/01/20/09:23:16 No.60569  
蟹沢克仁  
Anne of Windy Willows はあまり記憶にない。
レベッカデューとダスティーミラーぐらいかなー
Anne of Windy Poplars という題名があるのは初めて知った。
米国版らしいですね。

Re[3]:C組:118 2020/01/21/22:33:35 No.60572  
Sailor Cobattie  
今読んでいる「Anne's House of Dreams」にはジム船長が登場する。
「Windy Poplars」にもPringles一族の船乗りの話しが出てきていた。
難破して水も食糧も尽きてしまった時、亡くなった人の肉を食べて生き延びた…。
というような恐ろしい話が最初の方にあったけど、記憶にないかな。
モンゴメリーは森の木々や川のせせらぎなどの豊かな自然のみならず
海とそこに船出していくSailorやCaptain達の物語が大好きのようですね。



Re[4]:C組:118 2020/01/24/10:30:01 No.60573  
蟹沢克仁  
もう一度読みたいと思いアンを探したけれどどこにも見当たらない。
”アンの娘リラ”と”アンをめぐる人々”だけ見つかった。
アンの本はどこに行ってしまったのだろうか全くの謎の中に姿を消してしまった。
ちょっと読んだけれどモンゴメリーの言い回しやストーリーの妙に面白味を覚えた。
ただ、老眼鏡をして読むのに疲れてしまう。PCで大きくして読めるといいね。

Re:C組:118 2020/01/17/16:27:58 No.60568  
Sailor Cobattie  
松田雄馬「人工知能はなぜ椅子に座れないのか」新潮選書、読了。
「知能」とは何か。脳はどのように世界を知覚するのか…。
AIの限界と可能性を、さまざまな角度から説明してくれる。
「人工生命」「人工社会」、蟻や蜂の「群知能」などの研究成果が紹介される。
肉体と命・意識を持つ人間の脳とAIの違いが示され、わが意を得たりの感がある。

松田は「人口知能が、自ら成長し、進化することによって、やがて人間の知能を超越し、無限大に近い速度で成長していく」という「シンギュラリティ(特異点)仮説」を提唱したカーツワイルを学者でも技術者でもなく「アメリカの実業家」と紹介している。

Kurzweilの「ポスト・ヒューマン誕生--The Singularity Is Near 」により世界は「シンギュラリィテイの喧騒」に巻き込まれた。
冷静な議論の羅針盤として松田が提唱するのは「生命知」だ。
「生命」を持つ生き物は自分の体で「主観的に世界に働きかける」ことにより体験的に世界を認識する。(それについては「ゴンドラ猫」の実験例が分かり易い)

近年、人間が創りだしたAIの凄さが注目を浴びている。
しかし、生き物の「知能」の凄さは当たり前すぎて看過されがちだ。
「生命」とは何か、また「知能」とは何なのか。
「人工生命」「人工知能」の研究史が素人にも分かり易くまとめられている。
AIに少しでも興味のある人に、お薦めの一冊である。

Re:C組:118 2020/01/31/22:59:15 No.60587  
Sailor Cobattie  
John Searle「Minds, Brains, and Programs」Behavioral and Brain Sciences 3(1980)
松田雄馬「人工知能はなぜ椅子に座れないのか」で紹介されていた論文を読了。
人工知能が意識や心を持つことはできない。という当たり前のことを論証する論文だ。
西垣通や新井紀子といった研究者もジョン・サールの説を踏襲していることが分かった。
少なくとも、現行のノイマン型および非ノイマン型の技術の延長上では不可能である。
しかし何らかのパラダイムシフトにより全く新しい技術が誕生するかもしれない。
その結果「強いAI」が出現して「シンギュラリティ」が起こると信じる人もいる。

Cogprintsというサイトに公開されているPDFファイルをキンドルに取り込んで読んだ。(http://cogprints.org/7150/1/10.1.1.83.5248.pdf

カンさん、キンドル版に変換すると活字を大きくして読むこともできるよ。
レイアウトは多少崩れるけど辞書機能も使える。(日本語の辞書も)

無料アプリのキンドルには世界各国の辞書がタダでついてくるからね。
世界を変えた歴史的な文書がタダで手軽に入手でき、気軽に読める!
すごい時代になったもんだね。

Re:C組:118 2020/02/03/08:47:09 No.60588  
Sailor Cobattie  
千葉雅也「デッドライン」新潮社、読了。
この野間文芸新人賞受賞作品を読んで私の世界観は拡がった。

作者は立命館の準教授、帯には気鋭の哲学者とある。
新聞書評では「カミングアウト小説」と紹介されていた。
主人公の「僕」が修士論文でテーマとするのはドゥルーズ。
作者の専攻も同じだから、私小説なんだろうと思う。
顰蹙ものの描写もあるが、一貫するのは当事者による真摯な思考。

冒頭はパンツ一枚の男たちがクルーズするハッテン場。
こんな世界があるのかと驚いたが、いわゆるフーゾクなんだね。
ネット上には男と女の出会いを取り持つ仕組みが溢れている。
同じことがLGBTQなどマイノリティのためにも行われているらしい。

誰かを好きになる。一体化したいと思う。一緒に暮らしたい。
そう思う相手がどんな人なのかは、それこそ人それぞれ。
自分で選んで交渉して時に策略を駆使して結婚に至る。
このプロセスを用意したのは多分、神様仏様なんだろうな。
相手が男であっても女であっても恋は神聖なものなんだ。
そして同時に猥褻で汚らしく諍い・犯罪の種に満ちている。
セクシャル・オリエンテーションの如何に関わらず恋は同じ...。
「僕」と共に当事者の日常と思考をたどりながら、そう合点した。
男の好むポルノ小説を女性が読むとこんな感想を抱くのかもしれないな。

マカン・マカラのシャールさんにも
そこに集うドラァーグ・クイーンたちにも
僕らと同じく人に見せられない恥ずかしくも神聖な内面があるはず。
シャールさんに癒される女性主人公たちは
男としてアプローチしてこない安全な「母性」を彼に求めた。
でも、そういうのは「腐女子的なアプローチ」というものらしい。
だから「ボーイズラブ」が腐女子以外の女性にも人気なのだ。
ノンケの(そのケが無い)男には受け入れられない嗜好だが…。

乙武洋匡は「五体不満足」で「障害は不便だが不幸ではない」と言った。
ゲイに生まれたことも不幸ではないと「僕」は思っている。
だから親しい友達にはカムアウトしているのだが不便そうではあるな、まだ。

国会にも障碍者の議員が誕生した。
同性婚の法制化も実現していい時期になっているのかなと思った。

Re:C組:118   画像あり! 2020/02/24/22:07:24 No.60589  
Sailor Cobattie  
秀麗会スキー部
富士見パノラマ
ピーカン快晴の例会
連休最後の日曜
にもかかわらず
ガラ空きで快適
その原因は
雪不足と
コロナウイルス?

カンさん
勝手に
トリミングして
ご免。

Re:C組:118 2020/04/28/22:54:32 No.60646  
Sailor Cobattie  E-Mail 
Ray Kurzweil「The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology」(VIKING)
やっとのことで読了。長かった!2月末以来電車通勤がなくなり、リモートワーク。
往復2時間弱の車中読書は思った以上に貴重なひと時だったようだ。
読了に手こずった理由のひとつはコロナショックによる環境の変化。
だが最大の理由はカーツワイルの考え方に全くついていけなかったことだ。
世界に与えた影響力の大きさを考えれば読んどかなくちゃと思って手をつけた。
確かにすごい本だ。旧来の常識にとらわれない奔放な思考。力作...なんだろうと思う。
多方面からの膨大な引用を駆使してシンギュラリティが近いことを論じている。
多分ハラリはこの本を読んだから「サピエンス全史」を書こうと思ったのだと思う。
ニック・ボストルムの「スーパーインテリジェンス」もそうなんだろうな。
歴史に残る一冊なのかもしれないが、カーツワイルは最初の一歩を踏み間違えている!
としか思えない。すごい世界を示しているのかもしれないが、原点がずれてる!
一言でいうと「Humans are not machines---period.」「人間は機械じゃない、以上」。
彼に反論するDembskiやSearleの立場としてカーツワイル自身が紹介するフレーズだ。
最後まで読めば少しは彼の考えが分かるかもしれないと思ったが結局だめだった。
彼は今のコロナショックを、どう見てるのかな?
「人間が生物学を超越する時」というのがこの本の副題だ。
NHK出版の邦訳タイトルは『シンギュラリティは近い 人類が生命を超越するとき』だ。
「生物学」どころか「生命」を超えちゃうの?
人類も人工知能も生命を超越するなんてできません!
ま、いずれにしても、あと25年たてば結論が出る。
彼の予言どおり2045年にシンギュラリティが来るのかな?
来たらは来たで、面白いとは思いますけどね。

Re:C組:118 2020/05/21/09:19:27 No.60647  
三井栄二  
 相変わらず小説を読み漁っていますが、現実の世界がとんでもないことになっているので、どうにも落ち着かない。

 昨夜は、サザンオールスターズの「2008真夏の大感謝祭」のDVDをずっと観ていた。一昨日は、ラグビー・ワールドカップの再放送を楽しんだ。遠い昔のように思えてならなかった。何万人もの人が集まり何かに熱狂することが、もう二度とできないのだとしたら、寂しすぎる。「3密」って楽しみの基本形じゃん。
 人類の英知を結集してワクチンや治療薬を開発してほしい。

 それにしても、この国の政治家や官僚は何をしているんだか…。

Re[2]:C組:118 2020/05/21/19:38:17 No.60648  
三井栄二  
「少年と犬」馳星周(文藝春秋)
犬好きには最高。

Re:C組:118 2020/05/31/16:58:44 No.60649  
Sailor Cobattie  E-Mail 
『Anne's House of Dreams』 by Lucy Maud Montgomery
(Kindle版) http://www.gutenberg.org/5/4/544/ 読了。
魅力的なキャラ満載。アンはもちろん、ジム船長やレスリー。
それに、マリラやスーザンなどの「脇役」もすごい!
邦題は「アンの夢の家」。児童書ではなく、大人の小説。
人物描写が素晴らしいだけでなくストーリー構成が見事!
小説後半に、アッと驚くどんでん返しが待ち受けている。
「そんなのありか?」「やられた!」っていう感じ…。
未だ読んだことがない、という人は是非読んでみて!
グーテンベルグの無料電子図書館でも手に入るし、
何種類かの邦訳が、どこの図書館にも必ずあるはずなので。

Re[2]:C組:118   画像あり! 2020/05/31/20:44:34 No.60650  
かずあき  E-Mail 
FILE 60650_1.pdf
こんばんは。
ごぶさたしてます。
コロナ禍の最中皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は元気にやってます。

相変わらず、三井会長も小林さんもすごい読書量ですね。
小林さんは英語で読破していて素晴らしいと思います。

昨年、母が米寿でお祝いしたのですが、お祝いの曲を作ってサプライズで歌いました。
予めみんなに楽譜を送っておいて練習しておいてもらいました。

Re[3]:C組:118 2020/06/07/07:42:58 No.60655  
Sailor Cobattie  E-Mail 
一明先生、お母様の米寿おめでとうございます。
送られてきた楽譜で予め練習してから集合とは!
素晴らしいチームワークの音楽ファミリーですね。
短歌を作り、日本画を描くスーパーレディの母上。
素直な感謝の気持ちがストレートに伝わってきます。
時代の激変に当惑ぎみの私にも安らぎと勇気が届きました。

コロナ相手の激務は一段落といったところでしょうか?
ウィズコロナ。コロナと共に歩む新しい日常。
元気に生きていこうと、改めて思いました。ありがとう。

Re[4]:C組:118   画像あり! 2020/06/08/13:03:35 No.60657  
かずあき  E-Mail 
FILE 60657_1.pdf
小林さん、ありがとうございます。

小林さんの英語はすごいですね。
私は、高校時代英語研究部だったのに、いまだに読めず・書けず・聞けず・話せずです。
「マクベス」のセリフの一部(Tomorrow Speach)とWordsworthのDaffodilsをおぼろげながら暗唱できる程度です。
これから時間ができたら英語を勉強し直したいです。(あまり使い道がないけども。)

佐久総合病院は、昭和22年から毎年5月に「病院祭」をやってきています。
今年はコロナのため、できませんでしたが、一昨年と昨年の病院祭の実行委員長をやらされました。昨年「病院祭の歌」というのを作りましたので、それを添付しておきます。

最近は、星野源の「うちで踊ろう」と髭ダンの「Pretender」(キーを下げて)練習してます。

Re[2]:C組:118 2020/06/01/14:43:48 No.60654  
蟹沢克仁  
グーテンベルクは英語なんで
青空文庫を覗いたら
モーリスルブランの奇巌城があったので読み始めたら
全部読んでしまった。久しぶりにルパンと会った。

Re[3]:C組:118 2020/06/26/20:12:22 No.60661  
三井栄二  
 リタイヤしたら海外の山に登ろうと思っていた。だから、再雇用も1年間できりにしたのに、その直後にコロナだもんな。まったくもう。

 毎朝、アサガオやゴウヤが元気に伸びているのを見ることに、ささやかな幸せを感じています。
 しょぼいオヤジだ!

Re:C組:118   画像あり! 2020/07/01/22:23:17 No.60662  
Sailor Cobattie  E-Mail 
FILE 60662_1.pdf
L. M. Montgomery「Rainbow Valley」(Kindle版) 読了。
(https://www.gutenberg.org/ebooks/5343)
アンシリーズの一冊だがアン世代の人達はみんな脇役。
主役はアンの子供6人と牧師館の4人の子供たちだ。
この物語を貫く太い縦糸は、親子関係...。
とりわけ里親や継母と子供の関わりである。
DVを逃れて教会にやってきた孤児マリアを
神に与えられた義務として引き取るコーネリア。
妻を亡くしたメレディス牧師に新しい伴侶をもたらすのは
父親の再婚に最も反対していた娘のユナ。

私自身、小一の4月に生母を亡くし継母に育てられた。
しかし私は当初から父の再婚には反対していた。
長い反抗期で最も手を焼かせたのが私だった。
父の再婚後、2人の弟たちが生れ
今の母は5人の坊主どもを育てあげてくれた。
たまたま今日は、その母の77回目の誕生日。
一明君の話に触発され喜寿を祝う会を企画したが
コロナの影響で宙ぶらりんになってしまった。
とりあえずさっき電話で感謝の歌を聴いてもらった。
https://youtu.be/P-wVqBsDEP8
↑このURLをコピーしてアドレスバーに貼付けてみてください。

Re[2]:C組:118 2020/07/09/10:22:18 No.60663  
蟹沢克仁  
いい歌だった。自作ですか?すごいです。

Re[3]:C組:118 2020/07/12/06:13:09 No.60667  
Sailor Cobattie  E-Mail 
Kanさん、あたたかいコメントをありがとう。
YouTubeって何人に見てもらえたかが分かるんですよね。
テレワークで覚えたやり方で「動画」をULしましたが
しばらくは視聴回数が0人のままでした!
限定公開で想定内でしたが少し凹みました。

ごく私的で独りよがりな「動画」をご視聴いただき
ありがとうございました。

Re[4]:C組:118 2020/08/08/20:54:46 No.60679  
一明  E-Mail 
小林さんすごいですね。
いつの間にかユーチューバーになってますね。
お母様すごく喜ばれたんじゃないかと推察します。

私も退職したらユーチューバーになろうかな。

話は変わりますが、最近私が読んで面白かったのは、

 「武器としての『資本論』」 東洋経済新報社  白井聡著

です。
 マルクスの「資本論」はとてもじゃないけど読めませんが、この本はとてもわかりやすく読めて資本論のエッセンスを理解することができます。

恥ずかしながら「包摂」という言葉を私は知りませんでした。
いつの間にか現代人の心の中に資本主義の、特に新自由主義的な考え方が浸透してきていて、資本にとって「役に立つこと」こそが尊いという観念がすり込まれているのではないでしょうか。
相模原障害者殺傷事件も、「実質的包摂」が深く浸透した結果起こった事件であるとの解釈も成り立つと思います。
我々ももう何年かしたら、役に立たない人間になってしまいます。そうなったら姥捨て山や爺捨て山に行かなければならないのでしょうか。
90になろうとする母は、今はけっして生産的な人間とは言えませんが、存在しているだけで我々家族の心の支柱であり続けています。
存在そのものの有り難さ、崇高さ、価値に目を向けていかなければならないと考えます。

Re[5]:C組:118   画像あり! 2020/08/16/13:16:17 No.60684  
Sailor Cobattie  E-Mail 
一明先生、ありがとうございます。
若い同僚の一部はコロナ以前からYouTuberだったようです。
自分の授業を録画してフォロワーにURLを知らせる。
すると、数学の説明などは動画を止めて何度でも視聴できる。
年長の教員にはとんでもないこと…と思われていました。
アフィリエイト広告で副収入を得ることもできますからね。
私には「顔出し」する度胸はありません。
服部さんから教わったパワポ動画による方法を使いました。
若者たちは電話を使うようにSkypeやYouTubeを使うんですね。
老後(?)は一緒に合奏(セッション)しましょう!


Re[2]:C組:118 2020/10/15/18:23:05 No.60712  
Sailor 小林正良  
弟に私のよりは少しましな喜寿を寿ぐ歌を作るよう言ってありました。
10月になって、やっとできたというので聴いてみたら結構いい歌でした。
https://www.youtube.com/watch?v=cEFX4dTXk3U
伊那北の後輩、演劇部と剣道部にもいたのでクラブの後輩でもあります。
上のURLを訪ねて、聴いてあげてください。

Re:C組:118 2020/07/14/00:33:58 No.60668  
Sailor Cobattie  
シモーヌ・ヴェイユ著「根をもつこと」(岩波文庫)読了。
コロナ禍の今、読むべき本として取り上げられる本だ。
クリスチャンの彼女は真理と正義を生きる指針とする。
アンシリーズのマリラやミス・コーネリアなどと同じ。
正しく生きること、責任や義務を見極め果たすこと。
ドイツのメルケル首相の感動的な演説にも通じる。
医療現場で患者の命を守る人、食料を届ける人。
火災・水害などの現場で身を挺して働く人々。
エッセンシャルワーカーや親・教員としての義務。
「高邁な召命」とはいわゆるミッションのことだろう。
人が各々の使命を忘れることで招かれる災厄もある。
ユダヤ系フランス人の彼女にとってそれは戦争。
ヴェイユは第2次大戦最中の1943年に没している。
原爆投下前に科学万能信仰の帰結点を予期していた。

キリスト教は「民衆を搾取する人びとの利害に関わる儀礼」になりさがってしまったと言うヴェイユ。
彼女が生きていたら人種差別反対デモを追い払った教会の前で聖書を掲げて演説するトランプ大統領をどう見るだろうかと思った。

トランプ大統領の好きな「法と秩序」は、ヴェイユが冒頭に掲げた「義務の観念」とは真逆のものであることは自明だ。

Re:C組:118 2020/08/16/12:42:53 No.60683  
Sailor Cobattie  E-Mail 
L. M. Montgomery「Anne of Ingleside」Kindle版、読了。
シリーズ6巻目、アンが40歳になる頃までを描いている。
この本でもアンは脇役。幼い彼女の子供たちが物語の主人公だ。
息子のジェムとウォルター、双子の娘ダイとナン。
末娘のリラは舌足らずのチビッ子として登場している。
彼らが出会う子供と大人、そして神様とのエピソードが描かれる。
母親のアンが肺炎で危篤に陥った時、神様と「取引」をするナン。
両親を亡くし叔父に引き取られ転校してきた級友に振り回されるダイ。
人の生き死にがごく身近にあり、神が生活の中心にいた頃の話だ。
コミカルなハッピーエンディングは叶わぬ祈りの裏返しなのかもしれない。
モンゴメリ65歳、亡くなる3年前の作品ということになる。
幸せいっぱいのアンとその家族を描いたモンゴメリの死因は自殺。
ウィキペディアによると「うつ病による薬物の過剰摂取」だったとか。
人生不可解!

Re:C組:118 2020/08/23/13:58:11 No.60690  
三井栄二  
 退職して事務仕事と縁が切れたためか、自宅でもPCの前に座る機会が減っています。
 相変わらず乱読の日々ですが、呼んだ端から忘れているようで…、一ヶ月経っても印象に残っている本は少ないような気がします。

「あめつちのうた」朝倉宏景(講談社)
 春・夏の甲子園が中止になった今年、この本が出版されたのは、ある意味「救い」なのかもしれない。
 甲子園球場のグラウンド整備を担う阪神園芸株式会社の若手グラウンドキーパーが主人公。還暦過ぎのリタイヤおやじには、若者の悩みや鬱屈が愛おしく、社会人・職人として成長する姿が、素直に眩しい。
 新型コロナのワクチンが広まり、また満員の甲子園でビールを飲みながら大声を張り上げて野球が観られるようになったら、映画化してほしい。

Re:C組:118 2020/08/30/22:55:58 No.60691  
Sailor Cobattie  
馳星周「少年と犬」文藝春秋社、読了。
できれば直木賞受賞前に読みたかった。
ハードボイルド。救いのない物語満載。
悲惨な結末が目の前にチラついてドキドキ!
「男と犬」「泥棒と犬」「夫婦と犬」
「娼婦と犬」「老人と犬」「少年と犬」
6篇の短編がリレーで繋がるオムニバス。
一匹の犬が長い放浪の旅で出会う人々の物語。
犬の名は多門、カイト、クリント、トンバ、
レオ、ノリツネと、拾われた人によって変わる。
人という愚かな種のため神が遣わした贈物の話だ。

Re[2]:C組:118 2020/09/03/14:22:13 No.60692  
三井  
「雨降る森の犬」馳星周(集英社)
 蓼科山麓に暮らす山岳写真家の伯父と暮らすようになった中学生の姪が、山の自然や威張りんぼの犬に包まれて、豊かな感性をとり戻していく話。
 信州の素晴らしさと犬の愛おしさにあふれた、馳星周ならではの小説です。
 ⬆の直木賞受賞作とセットで読んで欲しい。

Re:C組:118 2020/09/05/22:07:00 No.60693  
Sailor Cobattie  
L.M.Montgomery「Rilla of Ingleside」Kindle版。
カンさんの書き込みをきっかけに読み始めた
Anne Books 全8冊の最終巻を読了!
子供の読み物どころではない、ものすごい小説だった。
邦訳タイトル「アンの娘リラ」には、終始、
第一次大戦の影が重苦しくのしかかる。
縦軸はこれまでの7巻同様、血のつながらない親子の関係。
今回は戦争孤児の里親となる少女リラが主役だ。
横糸の若者達の関わりも戦争を巡るものだ。
志願兵の募集に真っ先に応ずるジェム。
人殺しを嫌い臆病者呼ばわりされるウォルター。
当初兄や恋人の志願に猛反対する女たちも
ジュニア赤十字や義勇兵募集の集会を組織して
倹約と奉仕に努め、愛国的な活動に邁進するようになる。
戦況悪化にともない病弱や年長の男達までもが駆り出される。
カナダが大戦にこれほど関わっていたとは知らなかった。
40万人ものカナダ人が参戦し5万人が死んだらしい。
スーザンが戦争の真っ最中に挙げていた数字だ。
終戦時には多分もっと大きな数になっていたはずだ。
「この世界の片隅に」のカナダ版といった感じ。
戦争の愚かしさと、それに翻弄されつつも
健気に生きる人々の気高い人生を活写する
永遠の名著といえる一冊だった。





Re[2]:C組:118 2020/09/07/19:56:32 No.60694  
三井  
「灯台からの響き」宮本輝(集英社)
 読み進めるのがもったいないと思ったのは久しぶりでした。この作家は日本語の使い方が綺麗だから、大好きです。
 主人公の中華そば屋のオヤジが、オレたちと同世代の62歳だっていうから、感情移入しちまったぜ。

Re:C組:118 2020/09/12/21:51:43 No.60697  
Sailor Cobattie  
馳星周「雨降る森の犬」集英社、読了。
馳ほどに達者なストーリーテラーは稀!
血のつながらない家族のピュアな物語。
家族の大切なメンバーは犬のワルテル。
自意識も時間認識も持たない犬が
思春期の少年少女たちを育て、
こんがらがった家族のもつれをほぐす。

「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」をググると、
「フランダースの犬」や「アルプスの少女ハイジ」に
出てきそうな大型犬の画像がヒットした。

長く人間社会の中で生きてきた犬は
霊長類よりも高い言語理解能力があると、
どこかで読んだことがある。人類の伴侶だ。

無理やり感の否めないプロットもあるけれど
思わず心揺すぶられ、ホロリとさせられる。
極めて上質のエンターテインメント小説である。

Re:C組:118 2020/09/21/21:04:10 No.60701  
Sailor Cobattie  
壺井栄「母のない子と子のない母と」(新潮文庫)読了。
「Rilla of Ingleside」を読み終えて、また読んでみたくなった。
小3の時出会い、我が活字中毒人生の原点となった本だ。
小1で生母を亡くした私が小学校の図書館で見初めた。
背表紙を見て、この中に自分がいるかもしれないと思った。

子供向けの大きな活字の「全集」のうちの1冊。
たぶん『壷井栄作品集』全25巻(筑摩書房)だったと思う。
内容は朧ろだが、小3で全て読み終えた記憶がある。
その後、早船ちよや木暮正夫らの「児童文学」にハマり
やがて宮沢賢治と出会い太宰やら三島らとも友達になった。

壺井は「反戦文学」などとレッテル貼りをされる作家だが
アンシリーズのモンゴメリーと不思議なくらいよく似ている。
「母のない子〜」の結末は、アンブックスでも繰り返されている。
おとら小母さんは、クリスチャンではないがアンそのもの。
そしてチロこと一郎の父がギルバートの役回り…を演ずる?
捨男という名で小豆島生まれ。熊谷で英語教師をしていた。

小豆島とプリンスエドワード島という村の設定も似ている。
どちらの小説でも島の子供たちの暮らしが活写される。
登場人物だけでなく、あの頃の私自身に再会できた気がする。
島の子供たち同様、なんと愛おしい子供だったことか!
時代も場所も遠く離れてはいる。
全く違った文化、風景の中に生活している。
それでも、おんなじ子供、おんなじ人間なんだと実感した。
私にとって、とても大切な1冊であることが再確認できた。

Re:C組:118 2020/10/15/12:04:14 No.60711  
Sailor Cobattie  
Hans Rosling「Factfulness」(Hodder & Stoughton / Kindle版) 読了!
 筆者はスウェーデンの医師。ストックホルムのカロリンスカ医科大学で国際保健学を講ずる教授でもあった。専門は経済発展と農業と貧困と健康のつながりに関する研究。地域担当医として働きながらコンゾという新しい病を発見したモザンビークをはじめ、インド、コンゴ、タンザニアなど世界各地に赴いて医療・調査・研究活動を展開した。スウェーデンの国境なき医師団設立者の一人でもある。
 彼の造語「ファクトフルネス」とは「事実に基いて世界を理解すること=fact-based understanding of the world」である。現代はインターネットでさまざまな情報やデータを手に入れることができる。このためFactやDataとのつきあい方が却って難しくなっているのだ。生き物として生き延びるためにご先祖様が私たちに残してくれた「本能」が理解を妨げるのである。「分断本能:Gap Instinct」や「宿命本能:Destiny Instinct」が差別を生む。「恐怖本能:Fear Instinct」「犯人捜し本能:Blame Instinct」は大きな事実誤認のもととなる。筆者は具体的なエピソードを引きながらFactfullnessの意義を示してくれる。
 Ray Kurzweilが「シンギュラリティ(The Singularity Is Near)」で犯した間違いは「直線本能:Straight Line Instinct」と「単純化本能:Single Perspective Instinct」によるものだったんだ…と、納得した。発明家で実業家のKurzweilはコンピュータという機械を通してDataを見ていた。それに対してHans Roslingは常にDataの向こう側に生身の人間を見ることを忘れない。どちらの本にもグラフや数字がうんざりするほど出てくる。しかし両者の違いは歴然!
 「Factfullness」は、現代人必読の一冊。名著である。老若男女全ての人に是非一読を、お勧めしたい

Re[2]:C組:118 2020/10/16/16:52:30 No.60713  
蟹沢克仁  
ファクトフルネス、中田敦彦のYouTubeで見ました。
確かに世界は変わっている昔より良くなっている。
いいニュースは世に流れず悪いニュースしか流れない。
だから真実を見極める目を持ちたい。
が、YouTubeで得た知識は本当かどうか見極める目が必要でもある。

Re[3]:C組:118 2020/10/16/23:21:18 No.60718  
Sailor 小林正良  
Factfullness。
ギャップマインダーのサイト↓や
https://www.gapminder.org/tools/
TED Talk の翻訳テロップ付き動画↓もありますが、
https://www.gapminder.org/tools/#$chart-type=bubbles
活字が一番、冷静に理解できるような気がします。

Re[3]:C組:118 2020/10/18/15:52:11 No.60720  
三井栄二  
 我が家のバアサンが、「この頃の火事は嫌だね、亡くなる人ばかりで」と言うので、「そうじゃねえのよ。人が焼け死んだ火事しかニュースにならんのだ。家が全焼したって、人的な被害がなけりゃテレビのニュースには流れんが、県レベルじゃ、火事なんて毎日起きてるんだに。」と教えてやった。
 マスコミにすれば、視聴者がそれを求めているので、と云いいたいんだろうが、情報の取捨選択が本当に難しい時代だな。

Re:C組:118 2020/10/16/23:24:34 No.60719  
Sailor Cobattie  E-Mail 
Edgar Allan Poe「The Black Cat」(Kindle版)読了!
『The Works of Edgar Allan Poe』(Gutenberg版にも所収)
NHKカルチャーラジオで都甲幸治さんが紹介している小説。
白人主人のあまりに酷い虐待に、黒猫が復讐する話だ。
昔読んだときには、おどろおどろしい怪奇譚としか思わなかった。
しかし都甲説によると黒猫が象徴するのは黒人奴隷なのだという。
リンチで虐殺される黒人のイメージがそこここに現れる。

ビリー・ホリデーの歌「奇妙な果実」にでてくるイメージだ。
「『奇妙な果実』とは、木にぶら下がる黒人の死体」
(https://note.com/artoday/n/ncc45fdbcd584)
Black Lives Matter!と叫ぶ人々の脳裏に浮かぶ映像でもある。
白人であるポーがどんな思いでこの短編を書いたのか。
今につながる歴史の文脈で読んで初めて分かることがある。

佐々木 直次郎の名訳が青空文庫にもある。
それをKindleが0円で売っている。
通勤の片道で読める短編。
美しい日本語の文章でも、じっくり味わえる作品だ。

107円で購入したKindle版はスキャンミスが多くて参った。
無料で手に入るGutenberg版のほうがお薦めです。

Re:C組:118 2020/10/21/22:25:23 No.60721  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
宮本輝「灯台からの響き」(集英社)読了!
学生の頃「泥の河」と「蛍川」を読んで以来の宮本作品だ。
筋はほとんど忘れたが、とても暗い話だった記憶がある。
「ずっと書きたかったテーマを泣きながら書いた」と何かに書いていた。
なので、たぶん私小説なんだろうなと思ったような気がする。

それに比べて「灯台からの響き」のなんと清々しいこと!
しかもオシャレで透き通ったサスペンス仕立ての小説になっている。
妻に先立たれたラーメン屋のオヤジ康平が灯台巡りの旅に出かける話。
亡くなった蘭子と若い真砂雄との関わりが次第に明らかになっていく。
女姓ってスゴイ!ラーメン屋のオカミさんが女神のように現前してくる。

康平を読書家、愛書家にしたカンちゃんのエピソードもいい。
康平の好きなバーネットの「小公子」と「秘密の花園」も読んでみよう!
カレン・アームストロングの「神の歴史」も読まなきゃなるまい。
森鴎外の「渋江抽斎」は早速キンドルで手に入れて読み始めた。
「灯台からの響き」はこれをモチーフとして書かれたと確信した。

人が読書に目覚めるキッカケというのはさまざまあるもんなんだね。

Re:C組:118 2020/10/25/16:52:59 No.60722  
三井栄二  
「きのうのオレンジ」藤岡陽子(集英社)
 この作家は、同志社大学文学部を卒業した後、新聞社勤務やタンザニアの大学への留学を経て、看護師の資格を取るために専門学校に通ったという、ちょっと変わった経歴を持つ方で、現役の看護師です。
 重篤な癌と向き合う33歳の男性と、それを支える家族や旧友の生き様が、切ないだけじゃなく、温かく、強い。みんな辛いけど頑張らなくちゃ、と思いました。
 「満天のゴール」(小学館)、「海とジイ」(小学館)、「トライアウト」(光文社文庫)など、多彩な作品を書いていますが、共通するのは、登場人物が愛おしいこと。大好きな作家の一人です。
 それにしても、病院に勤務しながら次々と作品を発表するパワーに、オヤジは感服いたします。

Re:C組:118 2020/11/06/22:58:33 No.60733  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
森鴎外「渋江抽斎」(キンドル版)読了。
何でか分からないのにメチャクチャおもしろい不思議な本というのが率直な印象。歴史小説とよぶにはあまりに日常的。ドラマチックでもなく大きな事件もない。幕末の医学者渋江抽斎の一生と,その弟子や子孫の履歴を淡々と描くノンフィクション。初め鴎外のファミリーヒストリーなのかなとも思ったが、そうでもなさそうだ。武家の紳士録「武鑑」や墓誌などを参照し、存命の子息から聞き書きしたとおぼしい部分も多い。退屈なはずの事実の羅列だけなのに何故かすごく刺激的。幕末から明治にかけての時代の奔流とそこに生きる人々がありありと浮かびあがってくるからだろうか。宮本輝は歴史小説を書きたかったのかもしれないな。少なくとも大河ドラマの書き手には読んでおいてもらいたい本だと思った。幕末物だったら役者やスタッフにも読ませたい。漢文調のリズムも楽しめる。高校の国語から古典が消えかけているけども漢文っていうのも残しておきたいなぁとも思った。

Re:C組:118 2020/11/14/22:12:51 No.60734  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
藤岡陽子「満天のゴール」(小学館)読了!
医療小説…という新しいジャンルに出会った。
満天に輝く星の一つひとつが昇天した魂…。
一生かけて辿り着いたそれぞれのゴール。
生れること、老いること、病と共存すること。
そして死んでいくこと。全て神聖な営みなのだ。
死すべき時には、死ぬがよく候。(良寛)
病むべきときには病むがよく、
老いるときには老いるのもまたよし。
どんな死を迎えられるかは、一重に
ゴールまでの生き方にかかっているのだ!
栄チョンの言うとおり、切ない話だけど
沢山勇気が貰える小説だった。
いい作家を紹介してくれて、ありがとう。

Re:C組:118 2020/11/15/09:11:56 No.60735  
三井栄二  
 三連休には東京にいる息子のところに遊びに行こうと思っていますが、都内も長野県内も感染者が増えているし、どうしようかなあ。

「犬がいた季節」伊吹有喜(双葉社)
 昭和63年秋、四日市の公立高校に迷い込み、それから12年の間、代々の生徒たちに大切に飼われた犬・コーシローの物語。
 ときに高校生の目線であり、ときにコーシローの目線であったり、『いつの時代も変わらぬ青春のきらめきと切なさ』という帯の惹句に同感です。現役の高校生よりも、オジサン・オバサンたちにお薦めしたい。卒業アルバムを開いてみたくなります。
 昭和30年代、松本深志高校で飼われ、職員会議にも出席したというクロが思い浮かびました。映画化されたけど、「さよなら、クロ」はDVDになっているのかなあ。

Re:C組:118 2020/11/17/22:33:25 No.60740  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
藤岡陽子「きのうのオレンジ」(集英社)読了!
参った!電車の中では読めない。何度も中断して深呼吸。
最終章は自宅に帰ってからひっそり一人で読み終えた。
直木賞がどういう基準で選ばれるかは分からない。
だが栄チョンお薦め受賞作のどれにも引けをとらない。
何度も何度も泣けてくるストーリーながら、読後感は爽やか!
泣かせのテクニックに翻弄されただけなのかなぁ。
プロの作家や批評家がどう読むのかは知らないが
私が選考委員だったら今年の直木賞に断然推薦する!

Re[2]:C組:118 2020/11/19/16:28:31 No.60743  
三井栄二  
「乗りかかった船」瀧羽麻子(光文社文庫)
 中堅の造船会社を舞台にした短編集。
 社会人なら誰でも、「自分は正当に評価されていない」とか、「自分の能力を発揮できる仕事につかせてもらえない」と、人事について腐ったり悩んだりしたことがあるはずだ。
 「でも、前をみよう」と思える話。
 平均すれば1年半に一度のペースで辞令をもらっていたワタクシに、現役のときに読ませてやりたかったな。

Re:C組:118 2020/11/21/21:40:43 No.60744  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
藤岡陽子「海とジイ」小学館(2018年)読了。
終末を迎えつつあるジイチャンと若者の話。
帯のコピーは「人生を希望に変える3編の物語。
3つの短編それぞれに、しみじみとした感動があった。
しかし60歳をこえた私から見ると何かがちょっと違う…。
例えば、最後の「波光」にでてくる「祖父」は作り過ぎ。
しゃべり過ぎだし、説明しすぎてる気がする。
「満天のゴール」に出てくる元夫も非現実的なワルだった。
女性には男心…というか浮気心が分からないのかなと思った。
あんなにヒドイ男、身勝手な夫はいるわけないもの。

最新作の「きのうのオレンジ」が一番よかった。
前の2作は「〜オレンジ」への習作だったのかも…。
それとも、ただ兄弟ものに弱い私がハマっちゃっただけなのかな…。


Re:C組:118 2020/11/24/22:29:59 No.60749  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
瀧羽麻子「乗りかかった船」(光文社)読了!
こんなジャンルもあったんだ?
中堅造船会社を舞台とする会社員小説?
突然人事部勤務を命じられる営業部員。
女性の溶接工、女性の事業戦略室長、その夫の資材調達部員。
社長秘書、北海道造船所長を経て本社に戻った新社長。
社内の誰かを主人公にした短編7つのオムニバス。
ドラマチックな事件はない。ごく日常の小さな衝突やすれ違い。
そして、ちょっとした心遣いと人と人との絆が描かれる。
帯にある通り「明日、働く元気が貰える」物語に出会えた。
どんな形であっても、一生懸命、誠実に働くのがいいね。
明日も、真面目に、元気に、ほどほどに、がんばるぞぅ〜!

Re:C組:118 2020/11/28/20:23:43 No.60750  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
藤岡陽子「晴れたらいいね」光文社、読了。
舞台は終戦直前、1944年のマニラ日赤救護班。
従軍看護婦の過酷な日々を描く戦争ファンタジーだ。
戦争を知らない世代によるフィクションながら
私たちのひとつ上の世代が経験した修羅場が
納得できるリアリティをもって活き活きと描かれている。
女性の偉大さがヒシヒシと身に沁みて感じられる小説である。

Re:C組:118   画像あり! 2020/12/14/22:27:08 No.60759  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
Eleanor Porter "POLLYANNA" Kindle 版、読了。
アン・シリーズが素晴らしいと騒いでいると
だったら、これもいいかも…
と、カミさんが薦めてくれた。
確かによく書けてはいる。
しかし、大分レベルが違った。
ドラえもんと韓流ドラマが合体した感じ。
ポリアンナは周囲の人々を幸せにさせる。
ドラえもんのポケットを持つ少女なのだ。
だけど、両親を失って天涯孤独の11歳。
亡き父が教えた「なんでも喜ぶゲーム」だけで
どうやって人々を幸せにするというのだろう?
そして、突然の交通事故!
これは、まさに韓流ドラマ。
子供が事故に遭わないように努める。
それが大人の仕事でしょ?
その大人たちが恋愛のもめ事を子供に解決してもらう?
逆なんじゃないかな?情けない大人ばかりが出てくる。
どんなお馬鹿でも60年も人間やってれば分かる。
いろんな悲しみや辛い事を経験するからね。

辞書によると「Pollyanna」という語には「極端な楽天家」
という意味があるらしい。
「しばしば軽蔑」の意を込めて…。
確かに、Pollyannaというキャラにはそういう一面がある。

ごめんなさい。
少年少女文学の世界的な名作に対して
あまりに失礼で大人げないコメントでした。
少し成長して
この次には
成人向けの作品を読んでみます。

Re:C組:118 2020/12/17/19:23:58 No.60760  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
Sherwood Anderson "HANDS" Kindle版、読了。
短編集「Winesburg, Ohio」の2編目。
NHKらじる☆らじる「カルチャーラジオ 文学の世界」
都甲幸治の「文庫で味わうアメリカ短編小説」で知った。

第1回の「黒猫」では黒人に対するリンチが話題になっていた。
「HANDS」では同性愛者に対する酷い仕打ちがテーマだ。
男子学生に人気の教師だったウィング・ビドルボーム。
生徒との性的関係を疑われ父親に殴る蹴るの暴行を受ける。
さらに10数名の男達に追いつめられ縛り首にされそうになる。

名を変えワインズバーグでひっそり暮らす今もトラウマに苦しむ。
農夫として巧みに苺を摘み採るその「手」が生徒を愛撫したからだ。
若い地元紙の記者ジョージ・ウィラードへの仄かな思いと
過去の忌まわしい記憶がぶつかり合って煩悶するウィング。

グロテスクといえばいえないこともないが
倒錯した切ない恋ごころを見事に結晶させている。

10年ぐらい前にヒットした、中村中「友達の詩」を思い出した。
https://www.youtube.com/watch?v=NgmVcsDV0FQ

手をつなぐくらいでいい
ならんで歩くぐらいでいい
それすら危ういから
大切な人は友達ぐらいでいい

あの歌が何故あんなに心に響いて来たのか
シャーウッド・アンダーソンの「手」が
あらためて教えてくれたような気がする。

Re:C組:118 2020/12/22/19:02:29 No.60761  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
伊吹有喜「犬がいた季節」(双葉社)読了!
昭和の終わりから現代まで、とある高校で飼われていた犬。
その犬が見ていた高校生達のドラマがオムニバスで示される。

スマホもLINEもない時代には大晦日の電話に大きな意味があった。
大学進学と上京が男の子と女の子の関係を微妙に揺さぶる。
ポケベルで気持ちを伝えたりした時代もあったな、確かに。
少し後になるとエンコー=援助交際なんていう言葉も流行ったな。

まさに青春小説なんだけど、エイチョンの言うとおり
ある程度以上の齢でないと分からない話かもしれない。

でも、あのころは良かった!などとは言いたくないね。
あんなピチピチの青春はもう戻ってこないだろうけど
シワシワ、テカテカになっちゃった僕たちにも
ワクワクするような出来事が待っているはずだ!

振り返ってばかりはいられない。
まだまだやれる。明日に向かって突っ走るぞ!







Re:C組:118 2020/12/26/16:57:31 No.60770  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
F. Scott Fitzgerald 「BABYLON REVISITED」
Musaicum Books(Kindle版) 読了。
NHKカルチャーラジオで都甲幸治さんが解説している。
「F・スコット・フィッツジェラルド『バビロン再訪』」
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=1929_01_2019534

第1次大戦はヨーロッパ諸国を廃墟にして米国を豊かにした。
パリではアメリカ人というだけで百万長者扱いされるほどだった。
大して働きもせず株で大儲けしたCharlieが主人公。
ブイブイ放蕩三昧をしていた彼も大恐慌でスッカラカン。
妻を亡くし、自分も病気(アル中?)になりサナトリウムに入院。
再起して義妹に預けた一人娘との暮らしを始めようとするが…。

この後、世界は第2次大戦に雪崩れ込んでいく。
アンシリーズのMontgomeryが「Rilla of Ingleside」で描いた時代だ。
我々の祖父母世代の日本人が満州などに夢を求めていた頃でもある。

大戦の狭間で時代に翻弄される人々が活き活きと描かれている。
コロナ禍の現代から、往時の世界の片隅が垣間見える。
今だから、若い頃とは違う読み方ができるような気がする。

Re:C組:118 2020/12/26/17:23:31 No.60771  
三井栄二  
「コロナと潜水服」奥田英朗(光文社)
 この作家には珍しい、霊や幽霊をからめたファンタジー短編集。5編のいずれも、優しくほのぼのとしていて、読後感が温かい。
 私は、「パンダに乗って」が好きだ。
 新潟の中古車屋で36年前の初代フィアット・パンダを買ったのは、若かりし頃パンダに憧れながら当時は買えなかった東京在住の中年オヤジ。その車の古いカーナビには、若くして病没したかつての持ち主が憑依していて、彼の思い出の店や場所に誘導する。
 戸惑いながらも、それを一緒に楽しむオヤジがいい。

 あー、いい本と出合うと、何か身体か軽くなったような気がするな。

Re:C組:118 2020/12/27/19:45:45 No.60772  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
Truman Capote「A Cristmas Memory」(Kindle版)読了!
らじる☆らじる「カルチャーラジオ 文学の世界」で紹介されている。
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=1929_01_2178543

これは是非みんなに薦めたい。
村上春樹の翻訳が新潮文庫にある。
「ティファニーで朝食を」という短編集の最後に収められている。
「クリスマスの思い出」永遠の名作。翻訳でも必ず楽しめる!

村上春樹は翻訳の名手だと思う。
たとえば、サリンジャーの"Catcher in the Rye"には
野崎孝の「ライ麦畑でつかまえて」などいろんな翻訳がある。
でも、村上の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」が一番よいと思う。

「クリスマスの思い出」は題名通りの特にどうということもない話。
なのに、どうってことのないエピソードで何度も何度も泣かされる。
何で泣けるのかなぁ〜と考えていると、また涙が滲んでくる。
7歳の「僕」がsixty-somethingの女性の親友とクリスマスを過ごす。
ただ、それだけの話なんだけど…。
子供だった自分が亡き祖父母と過ごした時間を思い出すから?
それとも、私が齢をとって涙もろくなっちゃったってだけなのかなぁ。

翻訳物はどうも…と言う人も、騙されたと思って是非読んでみて!
これは絶対お薦め!読んでみて面白くなかったら知らせて欲しい。
必ず泣ける。泣けたら、何で泣けたか教えて。
泣けなかったら、何で泣けなかったか…。

とぼけてて、ほのぼのとした話だから、泣けなくても笑える!
ちょうど今の時季にぴったりのイイハナシですよ。

Re[2]:C組:118 2021/01/03/09:57:31 No.60773  
三井栄二  
 昨日、村上春樹訳の「ティファニーで朝食を」買ってきました。

 普段私は外国の作品を読みません。たいてい日本語としての美しさがないし、文章の組み立てが変なことも多い。要は、翻訳者に小説家としての力量がないのだと思います。情けないことに、カタカナの人名も頭に馴染んでこないので、昨今、唯一読んだのは、C・W・ニコルさんの「勇魚」です。
 外国文学を手に取ったのは、高校生のときのヘミングウェイ以来かも知れない。

 ちょっとズルイかも知れませんが、最初に「クリスマスの思い出」を読みました。
 禁酒法時代のアメリカの田舎町。とても貧乏だけど、心豊かに暮らしているバアサン(どうやら60歳とちょっとみたいだから、そう呼ぶのもなんだが)と孫の話。
 毎年のクリスマス、爪に火をともすように一年かけて蓄えたお金で、ウィスキーをふりかけたフルーツケーキを30個(最後の年は31個)も作る。それらは、近隣の友人ではなく、たった一度しかあったことがなかったり、あるいはただの一度もあったことがないけれど二人が気に入っている人たちに郵送する。
 この二人のささやかで豊かな楽しみは、孫が寄宿学校に入れられてしまうことで終わってしまう。
 切ない結末だが、孫はずっとクリスマスの思い出を大切にしている。切ないけど、救いのある切なさだ。

 もともと、自身の小説でも翻訳したかのような日本語を使う村上春樹だから、違和感はありませんでした。他の3編は、明後日、104回目の献血の合間に読もう。

Re[3]:C組:118 2021/01/04/11:32:49 No.60774  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
2021年が皆さんにとって平和で幸福な年でありますことをお祈りします。
本年も宜しくお願いします。

ここのところ私も「ズル」いツマミグイ的な読み方をしています。
早稲田の都甲さんが講座で紹介している短編の拾い読みです。
でもカポーティのA Christmas Memoryのあとに
"Breakfast at Tiffany's"だけは読みました。
これもすごい小説でした。
ヘップバーン主演の映画化として敬遠していたのかもしれません。
決してチャラチャラした話ではありませんでした。
大戦間の時代を生きた若者達に出会えました。

Ernest Hemingway "Hills Like White Elephants" Kindle版も年末に読みました。
らじる★らじる「カルチャーラジオ 文学の世界」
都甲さんの講座、第8回で紹介されています。
ヘミングウェイの「白い象のような山並み」です。
"Men Without Women"「男だけの世界」という短編集に入っています。

私も少年期には翻訳物はほとんど読みませんでした。
大江健三郎や柴田翔、安倍公房、庄司薫なんかを読み耽っていた頃
笹川君がサマセット・モームの「月と6ペンス」が面白いと薦めてくれたのを思い出します。
ヘミングウェイもその頃何作か読んだ気がします。

ヘミングウェイは男の世界を書いています。

人は何故競い闘うのか?
箱根駅伝最終10区の逆転劇に心揺さぶられた時、
その答の一端が見えた気がします。

でも何故男は命を懸けてまで、殺し合ってまで闘うのか?
その答はまだよく分からないです。
というか、殺し合いの戦争に命を懸ける意味があるのでしょうか?
闘牛に命を懸け、他国の戦争にまで出かけて行き、最後には銃で自殺。
生き方には疑問詞が沢山つきますが、人の魂を震えさせる小説を多作。
おもしろいですね。

Re:C組:118 2021/01/04/21:43:48 No.60775  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
William Faulkner "Wash" (Rakuten eBook)読了。
「NHKカルチャーラジオ 文学の世界」で都甲さんが
フォークナーの「孫むすめ」として紹介している作品。

一言でいえば「ひでぇ〜話」である。
女性の尊厳を無視している、とか
人種差別だとかいう生易しいものではない!

大坂なおみ選手の黒いマスクによるアピールも
バイデン当確を伝えたCNN黒人女性アナの涙も
この短い小説を読めば、何故だったのかが分かる!

勿論これはフォークナーの創作=フィクションである。
だが、米文学を産み出す原動力を見せつける作品だ。
都甲さんによればエネルギーの根源は戦争にある。
南北戦争、2回の世界大戦、そしてベトナム戦争…。

南北戦争の敗者となった没落農場主のサトペン大佐。
解放されて北へ去る解放奴隷のアフリカ系の人々。
戦争を忌避した痩せこけて病弱な白人の居候ワッシュ。
そしてワッシュの孫むすめ。彼らが悲劇の中心人物だ。

南軍の劣勢が明らかになり始めると
同じサトペン邸に暮らす黒人奴隷らは
ワッシュをWhite Trash「白いゴミ」と嘲る。
本当はWashingtonの略でWashなのに…。
敗戦で白人としてのプライドは病的に高まる。

そして屈折した複雑な対立が悲劇を産み出す。
見事な作劇術!ドラマとはこうして創るんだと納得。
フィクションではあるけれど、凄いリアリティだ。
この生き方、この死に方しかなかったのだと思う。

------------------------------------

瀧口直太郎/訳「フォークナー短編集」(新潮文庫)所載。
The Unvanquished (English Edition) Kindle版や
Portable Faulkner (English Edition) Kindle版には
"Wash"が載っていないようだったので
Rakuten eBook「The Faulkner Reader」で読んだ。
楽天のアプリは端末毎にハイライトが同期できない。
通勤中はiPad、自宅ではPC、たまにスマホという私には不便だ。

Re:C組:118 2021/01/09/22:33:54 No.60776  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
Tim O'Brien "On the Rainy River" Kindle版、読了。
ティム・オブライエンの「レイニー川にて」である。
ティムはベトナム戦争を素材にした作品で知られる。

この短編が載っている短編集
"The Things They Carried"のAuthor's Noteには
「This is a work of fiction…」=「この物語はフィクションだ…」とある。
一方で、主人公(語り手)の名前は作者と同じティム・オブライエン。
ことほど左様に現実と虚構の区切りが曖昧な作品なのだ。
しかし、伝わってくるものは全て真実である。

レイニー川はアメリカとカナダの国境を流れる川だ。
ベトナム戦争が泥沼化し、徴兵猶予されていた人も招集され始める。
ハーバード大学院への特待生入学が決まり戦争とは無関係のはずだったティム。
穏健なリベラルでベトナム戦争に疑問を抱くティムの徴兵は晴天の霹靂そのもの。
「I was too good for this war! 僕はこの戦争に行くには良い人過ぎる!」

私も、そうだ。戦争なんて絶対行けない!
人殺しなんてできるわけがない!
戦争に行くか、逃げるか、有力者に働きかけて猶予してもらうか?
私がティムの立場だったとしたら、どうする?
読んでいる間、ずっと選択を迫られていたような気がする。

結局、彼は豚の屠殺場でのバイトを発作的に辞めてカナダに向かう。
8時間ほど車を走らせて辿りついた国境のロッジ。
レイニー川の岸辺に建つ釣り客相手のみすぼらしいボート小屋。
そこで彼は人生の恩人と出会う。…という話である。

作者のティム・オブライエンは従軍し生還して作家になった。
だから「レイニー川にて」の結末は最初から分かっていたともいえる。
だが私自身がティムになって、どちらに向かうべきか思いあぐね苦しんだ。
父達が先の大戦に徴兵されたときの気持ちを想像したりもした。

久々に凄い作家に出会うことができた。
去年はモンゴメリの年だったけど、今年はオブライエンの年になりそうだ。

Re:C組:118 2021/01/24/17:17:48 No.60777  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
李栄薫・編著「反日種族主義」文芸春秋(2019)読了。
ソウル大経済史の元教授らが日韓危機の根源を論じた論文集。編著者の他、5名の著者が「慰安婦」「徴用工」問題の核心を分かりやすく解説している。正直に言うと、私は少々偏見を抱きつつ読み始めた。YouTubeで日本記者クラブ主催の講演動画を視聴した時にはまだ半信半疑という感じ。(https://www.youtube.com/watch?v=NGeBZyiS9t0)裏に何か政治的な意図があるのではないかと勘繰っていた。だが、読み終えた今は、イ・ヨンフン氏らの意図が純粋に学問的なものであることを理解した。大学で分かりやすく説得力のある講義を受けたような読後感がある。この本が日韓両国でベストセラーになっているというYouTubeでの紹介も、なるほどなと納得した。

Re:C組:118 2021/02/08/20:05:26 No.60785  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
Tim O’Brien "The Things They Carried"(Flamingo, Kindle版) 読了。
ベトナム戦争の経験をもとに書かれた連作短編小説群。
すごい作品だ!なんと形容したらいいのか分からない!
とにかく読んでみて!でも、中高生にはむりかな。
余りに悲惨でグロテスクでもあるから。
おぞましさのなかにユーモアがある。
全体が切ないほどに透き通った物語になっている。
ティム・オブライエンはノーベル文学賞が授与されるべき作家だと思う。

文春文庫から「本当の戦争の話をしよう」という邦題で村上春樹の訳が出ている。
タイトルのつけ方も大正解!これは本当にお薦めです。

Re:C組:118 2021/02/20/18:21:24 No.60790  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
奥田英朗「コロナと潜水服」(光文社)読了!
優しいオバケたちが遊びに来てくれる話。
私も「パンダに乗って」が一番好きだ。
幽霊もお化けも見たことはないけど、いるよね。
優しいオバケのイタズラを感じたことはある。
パソコンをフリーズさせて知らせてくれたり…
鳴るはずのない火災警報器が突然作動したり…
あの時は死んだオヤジが知らせてくれたんだと思った。
この短編集に出てくるのは縁もゆかりもない人達の魂。
そういうケースもあるかな。袖振り合うも多生の縁ってやつ。
栄チョンの言うとおり私も体が軽くなったような気がする。
ふわふわと少しずつオバケに近づいているのかもしれないね。

Re:C組:118 2021/02/27/23:40:48 No.60791  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
太田裕朗「AIは人類を駆逐するのか?」(幻冬舎)読了。
扇情的にも見えるタイトルながら議論展開は至って冷静。
自律制御システム研究所の代表取締役。
AIが自動から自律へのパラダイムシフトを引き起こしたという。
GAFAなどが発するメッセージはAIが決めている。
毎日何十億と飛び交うテキストや写真から
プラットフォーマーが是とするものを選ぶ。
そして削除すべきメッセージもAIが選ぶ。
AIという自律する頭脳をもつ道具。
時には人の人生を変え命を奪うことにもなるのか?
AIを使いこなすのは核兵器以上に難しい。
「アシロマAI原則」のようなルールを決めて
人類総がかりで対峙しなきゃいけないね。

Re[2]:C組:118 2021/03/08/17:57:06 No.60792  
蟹沢克仁  
すでにグーグルにコントロールされている。
検索もグーグルの意思でコントロールされているし
出てくる情報も本当かどうか分からない。

Re:C組:118 2021/03/22/20:50:50 No.60800  
三井栄二  
 昨日、冷たい雨の中「春の高校伊那駅伝」が開催され、全国各地から集まった高校生が伊那路を走ってくれた。人生で一番輝いているはずの時間をコロナに奪われたのに、それでも懸命に走る選手たちを見ていると、不覚にも涙がこぼれてしまった。
 がんばれ、高校生。負けるな、若い奴ら。ジジイは応援しているぞ。

 

Re[2]:C組:118 2021/03/23/10:31:11 No.60801  
蟹沢克仁  
高校野球も見ていると感動するね。
スポーツはいい、オリンピックもやってくれると信じているぞ。

Re:C組:118 2021/04/11/23:12:27 No.60813  
Sailor Cobattie 正良  
Tim O'Brien "July, July" (Houghton Mifflin Harcourt刊、Kindle版)読了
1969年に大学を卒業し30年後の同窓会で再会したクラスメート達の群像劇。
登場人物が多く筋を追うのは大変だけど不思議な魅力をもつ小説だった。

ベトナム戦争末期。ラブ&ピースの反戦運動に関わっていた者もいた。
従軍し生死の淵をさまよったのち片足を失い生還した者。
徴兵を逃れるためカナダに亡命した者。カナダに同行しなかった婚約者...。
さまざまな青春とその後30年の人生が錯綜しながら展開する。

人類が初めて月面に着陸した1969年の7月と同窓会が開かれた7月。
「July, July」というタイトルは、この2つの7月を並べたものだろう。

人間って面白い!不思議な生き物だ。

Re:C組:118 2021/04/25/21:43:01 No.60814  
Sailor Cobattie 正良  
辻村深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス)
勤務先に新設されたデジタル図書館を利用して読了。
アニメ業界を舞台にした清々しいお仕事小説。2014年刊。
京都アニメの事件や「鬼滅の刃」ブームのはるか以前の話。
小説そのものは素晴らしかった。読後感もさわやか!
ただしデジタル図書館のシステムはイマイチ。

ホームページから借り出した本をブラウザで閲覧する。
KindleやiBooksのような辞書や検索の機能はない。
それどころか頁番号も表示されず、目次さえもない。
なので今どのあたりを読んでいるのかが分からない。
あとどのくらいで読み終えるのか見当すらつかない。
もちろん、引用のためコピーすることなど不可能だ。

私が借りている本を別の人も読めると思ったが甘かった。
誰かが借りている本は予約か試し読みしかできない。
考えてみれば当たり前のことなのだが、う〜ん、残念!
子供達を優先させるため、今後の利用は控えることにした。

Re:C組:118 2021/06/08/07:52:51 No.60821  
Sailor Cobattie 正良  
篠田節子「田舎のポルシェ」(文藝春秋)読了。
エイチョンがLINEに書いていたとおり伊那警察署が出てきた。
タイトルはポルシェなのに表紙には何故か軽トラの絵があった。

八王子の農家に生まれたアラフォー娘の話。笑える。
ウチのカミさんが何故篠田節子を贔屓にしてるのか分かった。
男たちが酒を酌み交わしているあいだ女衆はオサンドン。
男と同じように働いていても子育てと家事は女の仕事。
PTA活動を支えるのはオカアサン達なのに会長は大抵男…。
「男尊女卑」などという大仰な言葉が出てきてビックリした。
日本はいまだに男中心の社会…と作者は認識しているらしい。
男女雇用機会均等法ができて40年ぐらいになるのかな?
にもかかわらず「女性活躍社会」の実態は昭和の農村だという。
これが日本の女性の皆さんの共通認識なんだろうと思う。
なかなかキビシィ〜イ!

Re:C組:118 2021/07/16/12:08:05 No.60822  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
村上春樹「ドライブ・マイ・カー」文藝春秋、読了。
2014年刊の短編集「女のいない男たち」冒頭の小品。
カンヌにノミネートされた日本映画のネタ本らしい。
たまたま長男の本棚にあったのが目についた。
30分で読めた。どうということもない小説...。
こんな切れ端のような短編からどんな映画ができたんだろう?

その中に「ワーニャ伯父」の挿話があった。
主人公の俳優はこのチェホフの芝居に出ているのだ。
自分の娘ほどに若い運転手のみさきがソーニャのセリフを言う。
「ああ、いやだ。どうして私はこうも不器量に生まれたんだろう?」
伊那北演劇部でソーニャを演じたのは西村さんだったよね?
そのことを突然、思い出させられて驚いた。
というかあの時の西村さんが私の眼前に現れたのだ。
ワーニャを演じていた私に向けられた科白だったのかな?

40年ぶりにチェホフの戯曲を読みたくなった。
内藤君が演じていたのは誰だったっけ?
笹川君や北原さんの役は何だったのか。

映画でもワーニャやソーニャが大活躍するはずだ。
小説のテーマが重なっているから…。
映画が公開されたらこっちも観てみたいと思う。

Re[2]:C組:118 2022/02/14/23:43:08 No.60852  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」を観てきた。
こんなスゴイ映画は何年振りだろう?
全然毛色は違うけど「カメラを止めるな」以来かな?
カンヌ映画祭の脚本賞は飾りじゃないな。超名作!
村上春樹の原作以上に、チェホフの「ワーニャ伯父さん」のお陰が大。
家福とみさき(ドライバー)の関係がワーニャとソーニャに重なる。
ソーニャはワーニャの姪、みさきは家福の亡くなった娘の齢。
ソーニャを演ずるパク・ユリムが素晴らしくよい。
みさき役の三浦透子もよい。美人じゃないけどいい顔してる。
北海道の彼女の実家の廃墟。雪の上で花を捧げるシーンで泣けた。
ソーニャがワーニャ伯父さんを励ますところでも泣けた。

伊那北高校3年生の時「ワーニャ伯父さん」を上演したんだよね…。
なんにも分かってなかったんだ…ということを改めて思い知った。
ちなみに冒頭近くに「ゴドーを待ちながら」の劇中劇がある。
「En attendant Godot」ゴドーとはつまり神。
いくら待っても神は来ない…と、この世の不条理を嘆くだけの戯曲だ。
ソーニャが神を連れてきたわけではないが、神について語る。
みさきは神とは無縁だけどソーニャと同じ役割を家福に対して演じている。
神がいない不条理で絶望だらけの世界に一筋の希望の光を灯してくれる。
サリンジャーの一切れの愛「a piece of love」ってやつ。
ドラマ全体が実にしっかり大きなスケールで構築されている。

この映画はすごくいい。是非ご覧あれ!
18禁ですけど…、家族同伴でも観られる程度のエッチ度です。

Re:C組:118 2021/08/01/15:07:43 No.60823  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
O'Brien, Tim「Going After Cacciato」Crown Kindle 版、読了。
O'Brienに、すっかりハマってしまった!
村上春樹はどこかで彼を「へたっぴい」な作家と評していた。
確かに上手い書き手ではなく、村上のようなベストセラー作家でもない。
しかし今やO'Brienは、私にとっての「オンリーワン」作家となった。

「Going After Cacciato」も、ベトナム戦争を舞台とした小説だ。
陰惨な場面も多いが、ぐいと心をつかんで離さない不思議な魅力がある。
時空が交錯し次に何が起こるのか、どんな結末になるのか分からない。
想像を絶する展開の連続。終始ハラハラ・ドキドキのしっぱなしだった。
でもそれはO'Brienの計算ずくではなさそうだ。
次になにが起きるのか、どちらに進んだらいいのか?
登場人物達に分からないのと同じように、作者も悩んでいるのだ。
未来のことは、たった一秒先であっても分かる人などいない。
読者もまた、主人公の四等技能兵Paul Berlinと一緒に迷い苦しむのだ。

戦争を舞台としたずっしりと読み応えのある作品ながら面白い小説です。
翻訳も出ているので、是非一読してみてください。
ティム・オブライエン:作、生井栄考:訳「カチアートを追跡して」新潮文庫

Re:C組:118 2021/08/05/10:13:08 No.60824  
Sailor Cobattie 正良  
Sara Constantakis 他「A study guide for Tim O'Brien's Going After Cacciato」Gale Group (Kindle版)読了。

間違えて買っちゃった1冊。
オブライエンの「Going After Cacciato」を探していたらこれがヒットした。4ドル弱と安かったから思わず購入。因みにランダムハウスのKindle版本編は13ドル。教科書用だから小説込みで安くしてるのかも…と喜んで飛びついたわけ。しかし、当たり前といえば当たり前なんだけど要約はあったが小説そのものは含まれていなかった。

せっかくなので本編読了後にこちらも読んでみたのだが、これが大当たり!要約で一気に小説の流れを追うことでストーリーの全体像がよりクリアになった。それに全登場人物がリストになっているのも助かった。改めて何か所か読み返して納得したりもした。

歴史的な背景説明や参考文献・課題図書などもあり、作中の「My Lai massacre=ミライの虐殺」が「ソンミ―ミライ第四地区における虐殺」であることもわかった。

お薦め図書としてベトコン側兵士の日記があった。
Dang Thuy Tram「Last Night I Dreamed of Peace」
今度はこれを読んでみようと思う。

Re[2]:C組:118 2021/08/06/22:19:43 No.60825  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
ダン・トゥイー・チャム「トゥイーの日記」(経済界)読了。
Tram, Dang Thuy「Last Night I Dreamed of Peace」Three Rivers Press, 2008の邦訳。「A study guide for Tim O'Brien's Going After Cacciato」で課題図書(Further Reading)に指定されていた書籍である。ベトナム戦争で戦死した従軍女性医師ダン・トゥイー・チャムの日記を米軍情報部のフレッド・ホワイトハーストが偶然手にする。これを持ち帰るのは軍規違反だが、彼はこの日記を大事に持ち続け35年後の2005年にやっとベトナムの家族のもとに届けるのだ。なぜ彼がそんなにまで「トゥイーの日記」を大切に思い、家族に返そうと思ったのか。その答えはトゥイーが銃弾に斃れる1970年6月までの彼女の生き方にあった。敵対する双方が、もし平和裏に対峙したのであれば、互いに尊敬しあえるいい友達になれたはずなのに!原爆記念の日にこの本に出会い、戦争に対するやりきれない切ない思いを新たにした。

Re:C組:118 2021/08/28/12:45:08 No.60826  
Sailor Cobattie 正良  
宮沢孝幸「京大 おどろきのウイルス学講義」PHP新書、読了。
筆者は、にゃんこ先生。ネットでお馴染みのウイルス学者だ。猫の白血病ウイルスなどの研究をしてきた獣医師でもある。率直な読後感は「生命ってスゴイ!」というもの。人間を含む生き物の神秘、いのちを育み進化させてくれた地球という星の素晴らしさを再認識した。
 ウイルスの存在自体が生命の進化に深くかかわっているというのもすごい!一番面白かったのは内在性レトロウイルスの話。生命の進化にゲノムに組み込まれているウイルス情報が大きな役割を演じたという説だ。ヒトゲノムのうちタンパク質を作るための遺伝子領域はわずか1.5パーセント。残りの98.5パーセントがどんな役割を演じているかわからず「ジャンク情報」などとも呼ばれていたらしい。9パーセントは内在性レトロウイルスと呼ばれ、人類が過去に感染したウイルスのコードがヒトゲノムに組み込まれたものであることが分かってきたという。生物のDNAは生まれたときと死ぬ時ではだいぶ違っている。一生のうちにゲノムが書き換えられるのだ。
 例えば、哺乳類の受精卵には父親のDNAが半分入っている。これが母親の母体に入り込もうとすると異物として排斥される。それを避けるために、内在性レトロウイルスの情報が役立ったというのだ。哺乳類が進化して胎盤を獲得するときに、何千万年も前に感染してゲノムを書き換えたレトロウイルスの手口が役立ったというのが宮沢先生の説である。
 専門のウイルス学以外にも、iPS細胞やES細胞の研究、クローン技術、がん転移のしくみ…など、最先端の生命技術に関する知見が分かりやすくまとめられている。獣医学者の大発見がノーベル賞級だったのに、ヒトの医学じゃなかったので受賞できなかったとか、自分のネコに関する論文がヒトに関するものに比べ粗雑な扱いを受けたというボヤキ…などもあり、読み物としても大いに楽しめる1冊である。

Re:C組:118   画像あり! 2021/11/24/18:18:02 No.60841  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
凪良ゆう「わたしの美しい庭」ポプラ社、読了!
電子図書館e-libraryの本は何冊か読んだのだが…
やっと人に勧められる1冊に出会えた。

凪良ゆうという作家はこれまで知らなかった。
BLボーイズラブを10年以上書いてきた作家…。
とウィキペディアには紹介されている。
しかし、キワモノという感じは全然ない!
むしろ、純愛小説。とてもピュアで真面目。
「親子」関係もきちんと書けている。
読む前にBL作家などというレッテルを知らなくてよかった。

この手のジャンルは太田章くんあたりが詳しいのかな?
栄チョンもきっと気に入ると思う。
凪良さんは本屋大賞の受賞者。人物描写も見事!
この作品は山田風太郎賞の候補にもなってるらしい。

先入観は不要。まだ読んでなかったら是非読んでみて!

Re[2]:C組:118 2021/12/05/11:17:22 No.60843  
三つ井遺児  
 「わたしの美しい庭」
 読んでますよ。ビルの屋上に神社というのも都会ならあるんだろうし、登場人物の関係も、ないようでいて違和感がない。
 自分が買ったのか、嫁さんが買ったのか記憶がないが、多分嫁さんだろうな。

Re[3]:C組:118 2021/12/08/08:25:18 No.60847  
↑ 誤変換でした(三井栄二)  
「櫓太鼓がきこえる」鈴村ふみ(集英社)
 半年ほど前に読んだ本ですが、まだ印象に残っています。
 両親が公務員の家庭に育ち、それゆえに鬱屈した思いを抱えたまま高校を中退した少年が、縁あって大相撲の呼び出しの見習いになる。高い志もないまま漫然と日々を送っていた彼が、次第に仕事の喜びに目覚めていく。序の口の優勝決定戦の呼び出しに抜擢されるシーンは感動的です。
 できすぎの話かもしれませんが、この本を読むと、BS放送で序の口や序二段の取り組みを観たくなります。しかも、力士だけじゃなく、行司や呼び出しに目がいくんですよね。

「濁り水 Fire's Out」日明恩(双葉社)
 「鎮火報」「埋み火」などに続く、消防官シリーズの最新刊。
 著者は、たちもりめぐみ、と読みます。女性なんですが、本屋さんで男性作家の棚にあったり、五十音順の「ひ」や「に」のところに並んでいることがあります。書店員の勉強不足がばれてしまいますね。椎名誠さん、飯嶋和一さんと並び、新館がでたら必ず買う作家です。
 売り言葉に買い言葉で消防官になった主人公が、内心では早く事務官(日勤)になりたいと毒づきながらも、恩人を見返すために現場で頑張ってしまうお話ですが、お仕事小説ではなく、水害での変死体にかかわるミステリー小説です。

 蛇足ですが、曲がりなりにも何年か伊那消防署に勤務した私からみれば、東京消防庁の厳しさと、反面、勤務体制の良さに驚きます。ここいらの消防署では、救急隊員と消防隊員、救助隊員は全部兼務ですので、救急車が2〜3台出場しているときに火災が起きてしまうと、ろくに消防車が動かせず、近隣の消防署から応援してもらうような体制なんです。世間の皆様は、車庫にはしご車やタンク車が並んでいるのを見て、いざというときには直ぐに出場してくれると思うのでしょうが、とんでもございません。動かす人員がいないこともあるのです。
 さっきまでスコップで土嚢を詰めていた署員が、活動服の上に防護衣をはおり、救急車で飛び出すのなんてのは日常の風景です。
 東京消防庁では、救急隊員は救急車だけ、消防隊員は消防車だけなんですね。

Re[4]:C組:118 2022/03/20/21:57:27 No.60863  
Sailor Cobattie 正良  
「濁り水 Fire's Out」日明恩(双葉社)読了。
エッセンシャルワーカーの日常が細かく描かれていて興味深かった。
少しだけ登場する事務官というのが栄チョンのやってた職掌だね。

今日も昼ごろサイレンが鳴り火災発生の防災無線が流れていた。
しばらく後に火災の事実はなく誤報だったという放送もあった。
出動指令を受けて現場に向かう消防士の様子が思わず目に浮かんだ。

殺人が絡むミステリーとしてよりも、消防士のお仕事小説として楽しんだ。
どんな職業にも苦労はあるが、人の命を守る仕事はほんとに大変!
エッセンシャルワーカーの皆さん、お仕事ご苦労様です。
ありがとうございます。




Re:C組:118 2021/11/29/23:59:27 No.60842  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
東川篤哉「もう誘拐なんてしない」文春ウェブ文庫、読了。
ユーモア・ミステリー…と、言うらしいが、ほとんどマンガ。
あまり笑えなかったけど…。単行本が2008年、文庫化が2010年。
この手のジャンルには賞味期限があるということが分かった。
そこらじゅうに防犯カメラがある現代、誘拐事件を扱うのは難しい。
身代金要求に電話なんか使えないし、逆探知で捜査する訳にもいかない。
何より「時計のトリック」もスマホ時代には成立しないだろうな。
アリバイ工作のために時計を早めたり遅らせたりなんてできないもの。
結末が気になるから一応最後まで読んだけど。ちょっと疲れた。

デジタル図書館にはこの手の少し古い感じの作品が多いような気がする。
中高生に人気の本でも、デジタル化までに時間がかかるってことかな?

たとえば田辺聖子の「ジョゼと虎と魚たち」は1984年刊行。
この中で車椅子の少女が世界から乖離した存在として描かれている。
この間のパラリンピックでこういった見方の誤りに気づいた人も多いと思う。
高齢化社会では齢をとればみんなが何らかの障害を抱えて当事者となる。
今では当たり前のことだけど40年前にはマイナーな視点だったよね。

たとえば山田詠美「ぼくは勉強ができない」1996年刊。
勉強はできないけどモテる男の子を主人公にした青春小説。
型にはまった男の子像と女の子像が少々古めかしい気がする。
高校生男子の心理と生理を女性の空想だけで組み立てている感じ。
単純化というのを通り越して描き方が少々乱暴すぎる。
「ぼく勉強はできないけど女の子にはモテるんだ」なんて自分でいうかね?
「勉強もできるし女の子にもモテるんだ」なんて思ってる男子いた?
実際そうだったとしても、そう意識することはなかったと思うが、如何?



Re:C組:118   画像あり! 2021/12/05/11:32:31 No.60844  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
小川糸「ライオンのおやつ」(ポプラ社)読了!
デジタル図書館のHPで書名にひかれて借りてみた。
初めポプラ社とあったので子供向けの本かなと思った。
瀬戸内海に浮かぶレモン島のホスピス「ライオンの家」。
そこに33歳で余命1年を宣告された海野雫が入所してくる。
運営するのはマドンナという夫を亡くした元看護師。
料理人は乳癌でおっぱいを失くした「かの姉妹」。
入所者のなかには粟鳥洲(アワトリス)さんなんて人もいる。
元アイドルで音楽セラピストのカモメちゃんは栗鳥洲と読み違えている。
粟(あわ)と栗(くり)はよく似ているから間違えやすいな、たしかに。
粟鳥洲さんの最期つまり昇天の瞬間にも栗鳥洲さ〜んと呼びかけていた!
勿論ワザと。なんでか? …それは、ネタバレになるので伏せる。

読後感:もうだめ!参った!小川糸は天才!
この人があの「ツバキ文具店」の作者であることに最後まで気づかなかった。
d-library.jpのデジタル本では作者プロフィールは最後の最後に突然現れる。
2017年にエイチョンに薦められて読んだあの本の作者だったんだ!と納得。
この本も人前では読めない!あやうく声をあげて嗚咽するところだった。
特に涙もろくなったお年寄にはひっそり誰もいないところで読むことをお薦めする。

Re:C組:118 2021/12/14/10:53:51 No.60848  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
山本渚「吉野北高校図書委員会」(角川e文庫)読了。
タイトル通りの青春学園ドラマ。
JKに人気のラブコメディだ。
解説は堀北真希(当時19歳)が書いている。
登場するのは絵に描いたようなモテ男子高校生。
それと、しっかり者で魅力的な女子図書部員など。
中学生ぐらいの子が憧れを抱きつつ読む本だね。

森田健作の「俺は男だ!」を観てた頃の私のように…。
主人公のコバヤシくんと隣家ミサオの淡い恋心。
あのTVドラマがきっかけで私は剣道を始めた。
小学校時代の「これが青春だ!」の舞台は確かラグビー部。
あれでラグビーをやるぞと決めた子供がいたんじゃないかな。

Re:C組:118 2021/12/19/08:38:56 No.60849  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
新海誠「バイリンガル版 君の名は。1」KADOKAWA
漫画・琴音らんまる、英語翻訳・Taylor Engel
英文解説・kazuma
eBookで漫画を読むのは初めてだった。
リフローしないのでスマホでは文字が小さすぎる。
iPad miniで頁毎に拡大しながら読むのもつらい。
そこでSurfaceを縦にして書見台に載せて読んだ。
「1」には第一話〜第三話しか収められていない。
それでも、新海ワールドが充分に楽しめる一冊だ。
テレビで観た「天気の子」との共通点は神様。
ムスビの神。

土地の氏神様をムスビって呼ぶんやさ(p.139)
途切れ、またつながり、よりあつまって形を作り
捻じれて絡まって 時には戻って…(p.141)
米でも酒でも水でも 人の体に入ったもんが
魂と結びつくことも またムスビ (p.142)

神を人間の想像力の所産と考える人もいるが
人間が神を創造したのではなく
人間は神を発見したんだろうな
虚数i(imaginary number)のように
あるいはダークマター、反物質みたいに

僕らを繋いでくれているのが
ムスビなんだろうな…
新海さんの世界観は
僕らの心の奥底にあるのと同じ
なので実に分かり易い
漫画は僕らの誇るべき文化遺産だね

Re:C組:118 2021/12/22/21:23:21 No.60850  
Sailor Cobattie 正良  E-Mail 
鈴村ふみ「櫓太鼓がきこえる」(集英社)
爽やかに、新鮮な驚きとともに読み終えた。
「角界の裏方『呼出』に光をあてる新しい相撲小説」
帯に書いてあるとおりホントに新しい小説だ。
こんな世界があったとは!

エイチョンの言うとおり出来過ぎた話ではある。
そんなにうまくいくわけない!と思わせる箇所も幾つかある。
しかし、ついつい惹きこまれて、相撲部屋の若者達と一緒に青春してしまった。

Re:C組:118 2021/12/27/21:10:54 No.60851  
Sailor Cobattie 正良  
瀬戸内寂聴「花芯」(講談社文庫)読了。
寂聴さんの訃報とともにこの作品の名前を知った。
これがキッカケで子宮作家と罵られ文壇で干されたとも…。
読む前は、若い頃はスポーツ新聞の連載官能小説みたいなのを書いてたのかな…。
プロの作家達に背を向けられたのだから駄作なんだろう…などと思っていた。
しかし、なんのことはない、真摯な恋愛小説ではないか?!
性的な描写はむしろ抑制されている。よくかけた小説である。
なんでこれがポルノ扱いされたなきゃいけないんだろう?
三島由紀夫の「憂国」や「午後の曳航」のほうがずっと愛欲小説だ。
谷崎潤一郎の小説なんかにも「変態」キャラは沢山でてくるのにねぇ。

高校時代に姉の本棚にあったのを読んだというカミサンいわく。
「女性の新人作家が書いたからよ…。男性作家だったら何も言われなかったはず」
時代も違うんだろうな。1958年発表ということだから60年以上も前。
赤裸々ではあっても哺乳類ヒト科に属する人間に関する普通の内容だよね。

平野謙の文芸時評などがキッカケで干されたと川上弘美の「解説」にある。
批評そのものよりも当時のマスコミが強い力を発動させたらしい。
平野教授が今生きてたら何というのかな?
そういえば「チャタレー」裁判なんてのもあったな。
昔読んだ「チャタレー夫人の恋人」は過激な性的描写をカットした版だった。
今はどうなんだろう。
ノーカット版がでているのかな。
出版業界の事情を太田章先生に伺ってみたいものです。

Re:C組:118 2022/04/02/22:33:44 No.60864  
Sailor 正良 Cobattie  
D. H. Lawrence
「Lady Chatterley’s Lover Annotated」(Kindle版) 読了!
寂聴さんの「花芯」の次に選んだ「性愛小説」には
思った以上にスケールの大きな世界が描かれていた。
ずっしりと読み応えのある名作だった。

第一次世界大戦後の「悲劇の時代」の物語。
工業化と物質文明がもたらした人間疎外。
その究極形が近代兵器で戦われた世界戦争。
心身ともに傷ついた人たちの人間模様。
そこには「悲劇の時代」をどうやって生きるか?
という答のない問いに対するヒントが示されていた。

お恥ずかしいかぎりだが、読む前には偏見があった。
伊藤整の「チャタレイ裁判」であまりに有名だったから。
この年になって初めてロレンスの素晴らしさに出会えた。
遅ればせながらロレンスに出会えてよかったと思う。

Re[2]:C組:118 2022/04/17/14:57:26 No.60865  
一明  
こんにちは。お元気ですか?ごぶさたしてます。

本日4月17日(日) 16:05〜16:20 SBCラジオ「こんにちはドクター」で、「下肢静脈瘤の血管内治療」の内容で出演します。
また、同じ内容で4月25日(月)〜29日(金)午前11時50分〜55分 テレビ信州の「あなたもホームドクター」に出ます。お暇でしたら見て下さい。テレビの方がわかりやすいと思います。
ラジオは、radicoで後からも聴けるそうです。
テレビは、テレビ信州のホームページに行けば、後で見られるようです。
よかったらどうぞ。

Re[3]:C組:118 2022/04/29/13:22:50 No.60866  
Sailor 正良 Cobattie  
https://www.tsb.jp/bangumi/movie/homedr/220425.html
一明先生、こんにちは。
しばらくチェックしてなかったら貴重な情報を見逃していました。
でも大丈夫!4/29現在、テレビ信州のHPで視聴可能でした。
4/28放映分はストリッピングなどの治療法の話!
血管を引っ張り出すなどという怖い内容!
臆病者の私には見てるだけで結構ツライものがあります。
これまで、入院も通院もしたことがなく、お医者さまとは無縁でした。
しかし、高齢者になれば、いつかはお世話にならなければなりませんね。
医療従事者の皆さんに、改めて感謝申しあげます。 


Re[4]:C組:118 2022/05/05/16:49:23 No.60867  
一明  E-Mail 
小林さん、ごぶさたしてます。
お元気ですか?

今はすべて見られますので、どうぞご覧ください。
ちょっと恥ずかしいですが。
見ると、画質と音声が悪いですね。
でもおおむねわかります。

Re:C組:118 2022/11/01/23:48:58 No.60868  
Sailor Cobattie 正良  
D. H. Lawrence「Sons and Lovers 」Kindle版 読了。
10日ほど前に読み終え「Women in Love」を読み始めたところ。
この前読んだ「Laday Chatterley's Lover」に比べて性描写は穏やか。
テーマはいずれも「愛」なのか?3作品ともタイトルにLoveという言葉が含まれる。
男と女、母と子、不倫相手の夫(恋敵?)との間に生まれる敵意溢れる「友情」…。
ぐちゃぐちゃの人間関係全てをひっくるめた「愛」なのかもしれない。
国や時代、文化的・宗教的な背景が全く違う世界でも人間はあんまり変わらないな。
どこに行っても同じようにメンドクサイ存在なんだなと思い知らされる物語だ。

PodCastで無料配信されている朗読音源もキワドイところがあまりなくて原文どおり。
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/sons-and-lovers-by-d-h-lawrence/
「Chatterley〜」の音源はカットばかりで、ついていくのが大変だった。

それでも炭坑夫の話す方言などは音声が理解の助けになった気がする。
‘Bill,’ I says, ‘tha non wants them three nuts, does ter? Arena ter for gi’ein’ me one for my bit of a lad an’ wench?’ ‘I ham, Walter, my lad,’ ‘e says; ‘ta’e which on ‘em ter’s a mind.’ 
↑こんな英語の長編小説をインターネットもない時代に紙の辞書を頼りに翻訳した伊藤整はスゴイ!

Re[2]:C組:118   画像あり! 2022/11/01/23:54:07 No.60869  
Sailor Cobattie 正良  
それでも翻訳には限界がある。
原文でないと伝わらないものもあるから。

Re:C組:118 2023/08/17/22:01:23 No.60870  
Sailor Cobattie 正良  
市川沙央「ハンチバック」文藝春秋、読了。
文学のフロンティアは今こんな所にあったのか!?
実存を掘り下げていくと万人共有の水脈に至るようだ。
健常者であっても、重度障害当事者であっても。
小説を書くのは、金のためでも、生活のためでもない。
誰かを感動させるために書くものでも、ない!
クールに淡々と…というより、冷徹に生を描く。性も。
文學界新人賞も芥川賞も沙央さんにとってはただの副産物。
彼女にしか書けない小説を発表し続けてほしいと思う。

Re[2]:C組:118 2023/08/18/11:33:25 No.60871  
Sailor Cobattie 正良  
「ハンチバック」に出てくる今どきの語彙。
・スパダリ←スーパーダーリン
・ナーロッパ ← なんちゃってヨーロッパ
 「小説家になろう」という投稿サイトで見かける
・TL←ティーン向けの恋愛小説

Re[2]:C組:118 2023/08/18/11:43:39 No.60872  
Sailor Cobattie 正良  
「ハンチバック」に出てくる今どきの語彙。
・スパダリ ← スーパーダーリン
・ナーロッパ ← なんちゃってヨーロッパ
 「小説家になろう」という投稿サイトで見かける
・TL ← ティーン向けの恋愛小説
・ハプバ ← ハプニングバー
・抽送 ← ピストン運動
 
次々に示される不道徳で醜悪なシーンが、冷静で知的な笑いを誘う。

Re:C組:118 2023/09/27/22:17:49 No.60873  
Sailor Cobattie 正良  
D. H. Lawrence「Women in Love」(Centaur Classics) Kindle版 読了。
小川和夫・訳「恋する女たち」『世界文学全集 34(集英社)』より
Apple Podcast「Women in Lover」(RoyalBooks.com)
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/women-in-love-by-d-h-lawrence/id903742340
 少々手こずって、読み終えるのに随分と時間をかけてしまったが、かけただけの時間と労力に報いて余りある名作だった。イタリア語・フランス語・ドイツ語などいろんな言語が随所に出てくるし、登場人物が抽象的で小難しい議論を繰り広げるから、小川和夫さんの訳本は必須。原文と翻訳をほぼ首っ引きで往復しながら、少しずつ噛みしめるように精読した。ある程度進んだところで、ほぼ章ごとにまとまっているポッドキャストの音声でおさらいをした。アマゾンのキンドルストアで、0円で「購入」したテキストを嘗め尽くすように少なくとも3回はなぞって堪能するカタツムリ読書であった。
 タイトルは「恋する女たち」だが、恋しあう男たちの物語でもある。同性愛という言葉は一切現れないが、100年以上前に書かれたとは思えないほど瑞々しく現代的な問題提起がなされている。つい先日観た是枝裕和監督の映画「怪物」と共通のテーマだ。GayのGeraldは同性愛者であるがゆえに悲劇的な結末を迎える。しかし彼自身も、その親友でバイセクシャルのBurkinも、2人の関係が同性愛だとは気づかない。恋愛感情ではなくBlutbrudershaft(兄弟の誓い)による永遠の結合eternal unionだというのだ。
 ここまで深くGeraldやBurkinの心中に肉薄できるロレンスの洞察力には舌を巻くのみ。

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