一万円道路沿いに咲き誇る桜の花、河岸段丘の彼方に望む雪を戴く甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳。薫が丘はいつも気高く、授業は進学校の名に恥じぬ高尚なものだったはずだが、そんなことよりも、腹が減っていることや放課後の部活のこと、憧れの彼女の言動ばかりが気になっていたオレたちだから、自分の未来なんて見えなかった。
　「目指す道は、本当にこれでいいのだろうか。この挫折はいつか解決できるのだろうか。そもそもオレは、進んでいるのだろうか、後退しているのだろうか。」
　還暦を控えた今になれば、その悩みこそが若者の特権であり、掛け替えのない時間なんだと言ってやれるが、残念ながら、当時の自分には、先生や親たちの声に耳を傾ける素直さはなかった。反抗こそが存在なんだと思い込んでいた。
　やれやれ、かくも青春とは愚かしく無様なものなのだが、もし全能の神とやらに、「あのときに戻ってみるか？」と問われるならば、即座に「はい」と答えるだろう。たとえ、もう一度愚かしい青春時代を繰り返すことがわかっていても…。
　
　 昭和５１年春の卒業から早や４０年。日々の暮らしにゃいろいろあるけど、オレたちの原点は伊那北高校での３年間だ。集まって飲もうじゃないか、語り合おうじゃないか。
　伊那北高校卒業４０周年記念事業を開催しますので、今から予定してください。多くの仲間の参加に期待します。